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栄養生理化学研究室では栄養学的視点に基づいた生活習慣病予防に関する基礎研究を行っています

 心臓病、糖尿病、がんなどは生活習慣病と呼ばれ、遺伝的な素因に加え、個人の生活習慣(ライフスタイル)が密接に関連して発症します。生活習慣の中でもとりわけ食習慣は生活習慣病の発症や進展に大きく影響しています。
 私たちの研究室では生活習慣病と『食べ物』の接点を中心に研究する中で、“食品の機能性”という概念のさきがけとなる知見を1981年に発表しました(図1)。それから今日に至るまで、さまざまな食物成分による疾病予防の可能性について報告してきました。 また、血液凝固・線溶系の異常は多くの生活習慣病の原因となることから、血栓症の発症メカニズムを解明する研究を行ってきました。その中で、線溶系因子が肝再生に関与することも見出しています。現在、日本は世界有数の長寿国となりました。一方で食生活の欧米化と平行して日本人の死亡原因も変化し、生活の質を低下させる生活習慣病克服のための対策は急務かつ重要な課題です(図2)。栄養生理化学研究室では、栄養学、生理学を礎として有機化学、生化学的、分子・細胞生物学的な新しい手法を用いて精力的に研究を進め、これらの課題の解決を目指しています(図3)。

 

(図1) 当研究室の有賀らがガーリック中に見出した抗血栓物質メチルアリルトリスルフィド(MATS)の分子モデル。ガーリックの摂取による血栓性疾患の予防の可能性が明らかにされ、機能性食品という概念の構築に大きく貢献しました。(Ariga T. et al., Lancet, 1,150, 1981)


(図2) 私たちが日常摂取する食品、栄養素の種類、量、摂食のタイミングなどの食習慣に加え、休養や運動習慣、ストレス、飲酒などの生活習慣は、高血圧症、高脂血症、肥満などの危険要因を招来して動脈硬化を進展させ、最終的には虚血性心疾患(心筋梗塞)、脳卒中(主に脳梗塞、脳血栓症)、腎不全(糖尿病性腎症)など血管系の重篤な合併症を引き起こします。これらの合併症は、直接の死亡原因となるだけでなく言語・運動障害、人工透析の導入など、生活の質(Quality of Life, QOL)を著しく低下させる原因です。


(図3) 栄養生理化学研究室では、栄養学と生理学を基礎に据え、有機化学、生化学、細胞生物学、分子生物学を融合し、生活習慣病と食べ物の関係について研究しています。