第15回全日本大学対抗ミートジャッジング競技会で日大チームが3位を受賞しました.
理念と目的
教科書には動物に関することがいろいろと紹介されていますが,実際にあなたは動物をどれくらい理解していますか?
私たちは,教科書にはのっていない動物の「謎」と「不思議」について,「動物生命科学」「動物生産科学」「動物環境科学」の観点から探究しています
動物資源学科3つの柱
FEATURE
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01
動物の生命科学
生命現象のプログラムとメカニズムを知り、技術の展開を考えます。
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02
動物の生産と利用
家畜を飼育管理し、乳、肉、卵を生産する「畜産学」の新たな展開を探求します。
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03
ヒトと動物と環境
大自然や人間生活の環境で、様々な動物との関わり方を探求します。
研究事例
RESEARCH
THEME
ヒトがつくり出した動物たち。
ヒトは農業を始めると自分たちの目的にあった植物や動物が欲しくなり、「成長が早い」、「おいしい」といった作物や家畜を生み出しました。
野生のイノシシを現在の豚へと改良したのも、乳牛が年に10,000kg以上ものミルクを生産するようになったのもヒトによる遺伝的改良、つまり「育種」の成果です。
動物育種学研究室では遺伝や飼育に関する膨大なデータをもとに、育種の可能性に関する研究を進めています。
英国ロスリン研究所をはじめ、海外経験の豊かな長嶺慶隆教授は、研究や海外との交流における英語力の大切さを痛感。
研究室の学びでも、「統計処理に必要なコンピュータ処理の能力、そして英語能力をとくに重視」と強調します。
また畜産の現場に触れるため、毎年秋には岩手研修も実施。
日本では稀な、放牧主体で飼われている牛「日本短角種」の牧場で牛追いのお手伝いをしています。
実はこの牛は丈夫で飼いやすいものの、松阪牛のような「さし」が乏しく、飼育農家が減って稀少な牛となりつつあります。
動物育種学の研究は、こうした品種にも光をあて、日本の畜産業を元気づける力となることでしょう。
THEME
安全な医療のため、ボクもがんばってます。
ヒトの細胞からつくられた臓器を移植に使う再生医療は、重い病気に苦しむ患者さんを救う夢の治療法といわれ、盛んに研究が行われています。
もちろん、まったく新しい治療法であるため、安全性の確保は絶対条件。
そのために、意外な動物が研究者の力になってくれます。それは解剖学的にヒトにとても近いといわれている彼ら、ブタです。
動物生殖学研究室の大西教授は、体細胞クローンの技術を使い、世界に先駆けて免疫システムを持たないブタの開発に成功。
ヒトからつくられた組織や細胞を拒絶しないブタの力を借り、安全性を調べるための可能性を拓きました。
大西教授によると、こうしたブタを開発する技術は、日本は世界のトップにあるものの、実際の利用に関しては欧米に大きく後れを取っているのが現状だといいます。
そんな状況を変えるためにも、動物に関するノウハウを持った優秀な人材を、ぜひ大学で育てていきたいと、大西教授は考えています。
「人間は家畜やペットなど、多くの動物に助けられて生きています。
同じように、安全な医療を実現するためにも、動物のサポートは欠かせません。
この学科を志す学生には、その役割や重要性についてもぜひ学んでほしいと思います」
THEME
あなたは野性的?それとも紳士的?
野性的で警戒心の強いオオカミには、体毛がまだらの個体が多く見られます。
ところが、遺伝的にはオオカミに近くても、人間に飼い慣らされた従順なイヌには、白や黒、茶色など単色の個体が多いように思われます。
また野生のキツネも、単色の個体の方が飼い慣らしやすいことが知られています。
私たちはこうした性格の違いを、まだら=保護色だから野性的なのだと、つい考えがちです。
本当は色は原因ではなく結果にすぎません。
動物の皮膚と脳には同じ遺伝子があり、それが皮膚で発現すれば異なるメラニン色素を産生して体毛をまだらにし、脳で発現すれば神経伝達物質に影響して野生動物に特徴的な性格を作り出します。
動物組織機能学研究室では、このように体内・体外の環境要因に影響され、行動のあり方を変えていくメカニズムを
マウスなどの実験動物を用いて探究し、動物行動の本質に迫ることを大きな研究テーマとしています。
研究室の山室教授が学生に期待するのは、「何かひとつでも新しいことを見つけてほしい」ということ。
相澤助教は、「たとえ実験が失敗したとしてもあきらめないで。仮説通りに進むというのは実は面白くない。
思い通りに行かなかった時こそ新しい発見があるんですよ」と、学生の挑戦にエールを送ります。
THEME
侵入者に告ぐ!おとなしく出てきなさい。
何とも勇敢そうな顔立ちのワンちゃんですが、警察犬ではありません。伴侶動物学研究室に所属するシェパードです。
彼らには、ある重要なミッションが期待されています。それは特定外来生物の探索。
今、東京のはるか南にある小笠原諸島では、人間が持ち込んでしまった北米産のトカゲ『グリーンアノール』が大繁殖し、固有種の昆虫を捕食するなど、貴重な生態系を脅かしています。
とはいえ体長20㎝ほどのトカゲを人の眼だけで探し出すのは至難の業。そこで、白羽の矢が立ったのは、犬たちの持つ鋭い嗅覚でした。
もともとグリーンアノールは、強い体臭を持つ生物ではありません。しかし、警察犬の訓練士でもある福澤めぐみ准教授は、グリーンアノールの体や排泄物を布に移行させた臭気を用い、犬たちを訓練。わずかな臭いだけで、探索が可能であることを実証したのです。
研究室では、こうした犬の学習プロセスをはじめ、犬が快適に生活できる環境など、犬たちとともに幅広い研究を行っています。
福澤准教授は、「普通に犬を飼っていても、人と違う犬の感じ方などは意外にわからないものです。
そうしたことが日々発見できる犬との研究生活は、とても充実したものになると思いますよ」と、その魅力を語っていました。
THEME
キミは先史の外来種?
それとも有史の外来種?
日本に分布する野生のネズミは、およそ20種類前後。私たちが普段目撃する可能性がある種はその4分の1程度で、残りは山岳地帯や森林、離島、特定の地方などに、人知れず生息しています。彼らは、ずっと昔から同じ土地に留まってきたわけではありません。地殻変動や、寒冷化による海面低下で陸地ができればそこを移動し、温暖化による海面上昇で陸地が沈めば孤立する。そういったことを繰り返しながら、現在まで分布域を拡大してきたのでしょう。
また、日本にいる野生のハツカネズミは、数千年前に東南アジアなどから渡ってきた、古い時代の外来種です。最近、北海道の酪農地帯で北米の遺伝子を持ったハツカネズミが発見されました。これは、近年輸入された牧草に紛れ込んでいた可能性が高く、ヒトやモノの移動に付随しても生物の分布は変化します。「こうした事例を知ると、生物としての彼らの歴史や、展開してきた環境もわかってきます」と話すのは、野生動物学研究室の岩佐真宏教授。
「野生生物の分布と地理的な要因を調べることは、生物の種というものがどうやって決まっていくのか、考えることにつながります。それが私たちの大きな研究テーマでもあるのです」
THEME
ヨーグルトの乳酸菌で、食品の“ロス”を減らそう。
食品の消費期限をうっかり切らしてしまい、処分したことはありませんか。もったいないけど捨てるしかない、食品ロスの問題は全国のコンビニなどでも発生しています。農水省の推計によると、日本全体の食品ロスは一年で約643万トン(平成28年度)。一人当たり約51kgにも達します。解決には「もったいない精神」も必要ですが、食品をもっと長持ちさせるための技術開発も欠かせません。
援軍は思わぬ分野から姿を現しました。ヨーグルトに添加されている機能性乳酸菌のガセリ菌です。ミルク科学研究室の川井泰教授は、ガセリ菌が生産する抗菌ペプチド(ガセリシン)が、グラム陽性の食中毒細菌に対して抗菌効果を示すことを明らかにし、安全性の高い抗菌剤・食品保存剤として利用するための研究を進めています。またガセリシンは、原理的に耐性菌が出にくいため、「第二の抗生物質」として医療分野への応用も期待できるそうです。「今ある世界中のガセリシンは、すべて私たちの研究室で発見しました。そのため、研究の自由度が大きいというのも私たちの強みになっています」と、川井教授は頼もしい言葉を口にします。将来、日本発の画期的な保存剤が世界を食品ロスから救う、大きな力になるかもしれません。
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