3.雑草の生理・生態による分類

1) 生活環による分類

生活史・生育期間の長さによる分類

一年生雑草(annual weed):一年以内でその生活環を終わる雑草である。夏雑草(summer weed)、冬雑草(winter weed)、二年生雑草(biennial weed):生活環を一年以上二年以内に終わる。可変性二年草ともいう。ヒメジオン,ハルジオン,オオアレチノギクアレチマツヨイグサなどがある。

多年生雑草(perennial weed):生活環が二年以上にわたる雑草,宿根生雑草のように毎年同じ地下部から再生し,繁殖は通常種子と栄養繁殖器官(塊茎,根茎断片,根断片);セイタカアワダチソウ,ウリカワ,マッバイ,ホタルイ,クログワイ,オモダカ・・・

  2) 生活環(life form

  植物体の全体や部分の形態・構造による類別である。

 休眠型(dormancy form

       Ch(Chmaephyte):地表植物;最も上位の休眠芽の着生位置が0-30cmのもの;シロツメクサ,カタバミ,チドメグサなど匍匐茎をもつものH(Hemicryptophyte):半地中植物;最も上位の休眠芽の着生位置が地表面のすぐしたにあるもの;セイタカアワダチソウ,ヨモギ,ムラサキカタバミなど

G(Geophyte):地中植物:最も上位の休眠芽の着生位置が地表に達しないもの;ヒルガオ,スギナなど深い根茎をもつ

Th(Therophyte):一年植物;一年生または二年生植物

HH(Hygrophyte, Hydrophte):水生植物;ヒシ,ウキクサ類,ヨシ,マコモなど

    生育型(Growth form):植物体地上部全体の構造による類別

 t:叢生型(tufted);多くのイネ科など

    b:分枝型(branched);スベリヒユ,ハコベ,ツメクサなど

    e:直立型(erect);シロザ,アオゲイトウなど

    r:ロゼット型(rosette):タンポポ,コオニタビラコなど

    pr:部分ロゼット型(partial rosette);幼植物ではロゼット葉を持つがこれが枯れた後に直立茎をだすヒメジオン
   ヒメムカシヨモギなど

   pt:にせロゼット型(pseud rosette);ロゼット葉を付けたまま直立茎をだすギシギシなど

    p:匍匐(ほふく)型(prostrate);メヒシバなど

    l:つる型(liane);ヒルガオ,ヤブガラシ,クズなど

繁殖型(Migrule form

 散布器官型(disseminule form

   D1:風散布,水散布の仕掛けをもつ;タンポポ,ヒメジオン,ハルジオン,水田雑草など

 D2:人や動物に付着する;ヌスビトハギ,イノコズチ,センダングサ類,オナモミなど

 D3:成熟するとはじく;カラスノエンドウ,スズメエンドウ,カスマグサ,スミレなど

 D4:散布の仕掛けをもたない;普通の雑草(種子の小さいもの)

 D5:原則種子を作らない;ヒルガオ,コヒルガオ,ムラサキカタバミなど

地下器官型(Radicoid form

 R1:根茎を持つ  d>100 l  ddiameter(cm)lは地下茎の平均長(length);スギナなど

 R2:根茎を持つ 100 ld>10 l

 R3:根茎を持つ  10 ld

 R4:匍匐茎を持つ;シロツメクサ,チドメグサ,ジシバリなど

 R5R1-R4以外のもの,栄養繁殖しない;一年生雑草が含まれる

 注:R1-R3は生育時期により異なるので厳密には区別しにくいことが多い

3) 水分適応性による分類


4) 光反応性による分類

C3植物とC4植物

両者の光合成の違いは,暗反応系における二酸化炭素の固定の違いである。すなわち,最初の産物として

3炭素化合物(PGA)を生成する植物はC3植物,C4植物は4炭素化合物(オキザロ酢酸,リンゴ酸など)を生成する植物

それらの特徴は表U-14に示した。C4植物における主要な雑草は,イネ科(メヒシバ,オヒシバ,イヌビエ,チガヤ

エノコログサなど),カヤツリグサ科(ハマスゲ,ヒメクグ,カヤツリグサなど),ヒユ科(イヌビユ,アオビユ

ハリビユなど),スベリヒユ科(スベリヒユ)などがある。